0522

モニターの前で寝てしまう前に布団へ向かおうと思う。独り言を呟き続けるのと同じで何を書いて、何を言わないで置くのか。その境界が曖昧だから、私はその曖昧の隙間に入り込んで抜け出せなくなってしまうような、そんな気がしてならない。
posted at 00:48:12

私は眠るのが怖いわけでも、次の朝に目覚めない可能性が怖いわけでもない。私の知らない時間が怖いのだ。私の知らない間にも世界は動いていて、目覚めたばかりの私に問題を突きつける。それがたまらなく怖いのだ。
posted at 00:49:45

当たり前のように朝が来て私は当たり前のように目を開けた。今日の天気予報は晴れだった。緑色のカーテンを開いて見上げた空は、もう空色をしていた。あと一月もすれば夏至だ。日は一日ごとに伸びているのだから、もう明るくて当たり前なのだ。湿度の少ない風がよそよそしく去っていく。
posted at 06:59:33

今日から「おはよう」という場所が増えたというのが不思議な感じがする。私はまだ誰とも会話をしていないのに、私は挨拶をするのだから。これから眠る人も、まだ眠っている人も、もう働いている人もいる時間の中で、私は「おはよう」というのだ。私と同じ時間の線の中で、いくつもの挨拶が飛び交う。
posted at 07:02:01

今日も一日、暑くなりそうだ。薬缶を火にかけながら私は思った。そのうち台所に立つのも嫌になるような暑さが来るのだろうか。ポットに茶葉を淹れる。「私の分、貴方の分、ポットの分」と美味しいお茶を淹れる魔法を繰り返す。私しか飲まないお茶なのに、茶葉は「貴方の分」もある。
posted at 07:06:56

商売上手の店員に押し切られる形で、遅咲きのチューリップを1本だけ買った。自分のために花を買ったことなどなかったから、家に花瓶はない。ソーダの入っていたガラス瓶を台所で空け、水道水を三分の二ほど注いだ。出始めは温かった水も途中から冷たくなり、肌に飛ぶ雫が気持ち良かった。
posted at 18:48:38

日は落ち、窓の外は青いインクを流したように暗い。半分だけ開いている窓から涼しい風が入ってくる。ガラス瓶に挿したチューリップは少々、不満げだった。食卓兼作業机になっているテーブルの上に、ガラス瓶を置いた。拭いきれていない雫が瓶の表面を伝い、テーブルに小さな水たまりを作った。
posted at 18:51:50

花瓶を買ったほうが良いのだろうか。この先も花を買い続けるのなら、花瓶はあったほうが良いのかもしれないが、この先も花を買い続けるとは思えない。だから、ガラス瓶のままで良いはずだ。これで最後の入荷と言われたチューリップは幼稚園に描かれるそれとは少々、形が違う。
posted at 18:54:01

クレヨンで描いたチューリップは花が三角形を合わせたように尖っていた。あるいは海の波のように、ワニの背中のように波型に尖っていた。現実のチューリップはそれよりも、ほっそりとして優美なシルエットをしている。
posted at 18:59:11

和名で鬱金香というように、独特の花の香りがする。1本だけであっても、花畑に来たようなそんな雰囲気にしてくれる。
posted at 18:59:55

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