0614

外は雨が降っている。私は窓の傍で降り注ぐ糸を眺めている。今日から梅雨入りだろうか。今日の雨は誰かの涙なのだろうか。そう感じるのは昨夜の「流れ星」のせいだろう。燃え尽きて、星になった鳥のせいだろう。今日は鳥も飛ぶのを控える、雨降りの朝。
posted at 09:37:56

鳥の鳴き声すら悲しく耳に響く。そう錯覚するような雨。いっそのことバケツを引っくり返したような大量の雨が降れば「誰かの涙」だとは思わないのに、と誰かの涙は私自身の底にたまっている水滴のことだと気がついた。……泣ければいいのだろうか。
posted at 09:40:09

ずっとメールをしようか迷っている。携帯電話の液晶画面では1バイト分の黒い四角が続きを入力されるのを待っている。「昨日は」の「は」の続きに、私は何を入力すればいいのだろうか。「星が綺麗だった」雲に覆われていたのに? 「10時ごろに」その続きを訊いてどうするのだろうか。
posted at 09:51:10

編みなおしたビーズの指輪のように、どこか気持ちがおかしい。
posted at 09:52:26

手にした携帯電話を取り落とした。また薄型の携帯電話と賃貸である家の床部分が傷が増えた。そろそろ携帯電話も機種変更をしたほうがいいのだろうか。こういう判断は難しい。携帯電話に蓄積されているデータが、ショップ店員の操作するコンピューターを仲介に、新しい携帯電話に再び蓄積される。
posted at 09:55:45

内面も知らない店員に、最もプライベートな部分を晒すのだ。もちろん携帯電話会社には守秘義務はあるだろう。また見られては困るような犯罪行為を匂わすようなデータは一切ない。けれども見られたくないデータ。0と1の並びはあるのだ。だから、機種変更は最低限に留めたい。
posted at 09:58:01

私は頻繁に携帯電話を買い換えているわけではない。いつでも必要に迫られて機種変更をしているのだが、それでもごく普通の人と比べると機種変更するスパンが短いらしい。ごく普通の人というのは、物持ちが良いのだろう。私は普通ではないということか。
posted at 09:59:41

メールは簡潔だったから、私の返信も簡潔だった。「おはよう」は、何度貰っても嬉しい文字列だ。
posted at 10:03:19

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