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新年の挨拶
夜の帳が降りた頃。
は一人、お気に入りの院子にいた。
新年の宴が開かれているとあって、周囲からは様々な音が聞こえてくる。
楽器の音。
人の笑い声。
それに混じって、歌声が響く。
はそっと耳を澄まして、主を探す。
多分、今この瞬間。
貂蝉は宴で舞と歌を披露している。
近くで見ることは叶わないが、こうして聞き耳を立てることくらいは許されるはず。
少女は目を閉じ、耳を傾ける。
一際美しい音色を聞いてみたくて。
「」
呼ばれて、は飛び上がりそうになった。
驚きで鼓動が早くなっていく。
「は、はい」
ゆっくりと後ろを振り返ると、そこには予想通りの人が立っていた。
「こんな時間にこんなところにいては、風邪をひくぞ」
一つ溜息をつくと、文遠はこちらに寄ってきた。
大きな体は今、鎧を身に着けていない。
あまり見ない師匠の格好に、は首を傾げそうになる。
「すみません」
ぺこり、と頭を下げる。
声の調子からそんなに怒ってはいないのだと予測できた。
けれど、は癖になってしまったかのように、謝ってしまう。
「は本当に律儀な奴だ。
少し、付き合ってくれぬか?」
優しい声が降ってきて、はぱっと表情を明るくする。
「はい!」
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「やはり宴というのは、中々慣れぬものだな」
独り言のように、文遠が言う。
はそれがおかしくて、くすりと笑ってみせる。
「文遠さまにも、苦手なものがあるんですね」
初めて見る師匠の表情に、は戸惑わなかった。
むしろ、強くて誠実で何事も恐れないこの方が、人間らしくて嬉しくなった。
何となく、のイメージでは完全無欠な人だった。
良い意味で壊されたと、は密かに思う。
「まるで私は、人ではないような言い方だな」
お酒が入っているせいだろうか。
いつもより、気さくな感じがする。
冗談ぽく笑う文遠に、思い切り首を横に振ってみせる。
「そ、そんなことないです!
えっと、文遠さまって本当にすごい人だから。
だから……、意外な感じがしたんです」
慌てて言葉を並べると、文遠は笑う。
その笑顔が少しだけ寂しそうに見えたのは、気のせいだったのだろうか?
「そうか、それはありがたいな」
ぽんと頭に大きな手がのる。
ゆっくりと、優しく撫でられては満足そうに笑む。
この大きな手が撫でてくれるのが、嬉しかった。
温かい手は、生きている証。
それがここにいてくれる事実が、心を弾ませる。
「ああ、そういえばまだ言っていなかったな」
文遠が膝を折り、目線を合わせてくれる。
大きな手は肩に添えられる。
瞬間、心臓がとくんと跳ねた。
「あけましておめでとう。
今年もよろしく頼むぞ、」
笑みを湛えたままの文遠から、挨拶をもらう。
一人前に扱ってもらっているような感じがしては満面の笑みを浮かべる。
「はい!
こちらこそ、よろしくお願いします」
しっかりと頷いて、は新たな誓いを立てたのだった。
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あけましておめでとうございます〜。
今年もよろしくお願いしますv
2007年元旦
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