海が抱く月の夢うみがいだくつきのゆめ

 鳥陵の都のさらに北東。『海月《かいげつ》』と名乗るクニがある。月の女神と海の女神を信仰する船乗りの民。民全てが同じ姓を名乗るほど小さなクニの最後の総領は『華月《かげつ》』という。鳥陵に屈したとき、彼女はまだ十二歳であった。
 終焉を眺めることとなった海月最後の宰相にして、海月郡最初の太守『沖達《ちゅうたつ》』。鳥陵の皇帝と同年の彼にできることは、限られていた――。

「願いは叶わない」

■注意書き■
 この作品は、現在社会において、教育的、道徳的ではない描写があります。
 建平三年新春以後(婚約者時代)は、R-15程度の恋愛表現が入ると思ってください。
 一部、機種依存文字が使用されています。
 時間軸どおりには更新されません。

■関連作品■
鳥たちの見た夢 小話
02.降雪//ロウタツとゲッカ(幼少期)
11.引き裂かれた絆//ゲッカ(人質時代)
19.涙//ロウタツとゲッカ(婚約者時代)
鳥たちの見た夢 番外編
天と地の差 (婚約者時代)

現在【原稿用紙91.7枚】 海月 【登場人物紹介】

幼少期

ゲボク(下僕)・・・…召し使いの意。
華月6歳。「一生涯、下僕」宣言される沖達。

イシクレ(石塊)……小石の意。
華月6歳。院子で石を熱心に拾う。

サクゲツ(朔月)……新月の意。 
華月6歳。つごもり(12月)の朔の日に。『仁』とは

ソウリョウ(総領)……いちばん初めに生まれた子。
華月8歳。「カイゲツの総領として、務めてみせるよ」 

建平元年以後(華月 人質時代)

ワヘイ(和平)……戦いをやめ、仲直りすること。
華月12歳。海月が鳥陵に下る。

セツボウ(切望)……熱心に望むこと。たっての願い。
華月12歳。海月が鳥陵に下ったときの沖達の気持ち。

ヒチジチ(人質)……約束を守るあかしとして、相手方に預けられる人。
華月12歳。十六夜公主との出会い。

カゲツ(華月)……春(3月)の異名。
華月13歳。華月の心情。

チュウダツ(忡怛)……哀れみ悼むさま。
建平元年~建平二年 華月と沖達の再会。

建平三年新春以後(婚約者時代)

シュンショウ(春宵)……春の宵の意
華月14歳。沖達と婚約。

ミカン(蜜柑)……ミカン科ミカン属の常緑小高木。また、その実。
華月14歳。沖達の好きな物。
素材【神楽工房
フォント【KINEMA MOON Graphics